ジャパニーズ・ビューティ

・「あそこのさ、新しくできた温泉、もう行った?」「え?あぁ、、なんか、でっかいお風呂入るところができたって聞いた!」「そうそう、そこなのよ。月曜日行ってきたんだけどね。やっぱり新しいから綺麗でね…」なんて行ったことはないが、好評だと思わせる温泉のことを考えながら、目を開けたり閉じたりしてみる。これ何回目だ。てか今何時だ。開けたとて、視力の悪いワシからすれば全てぼんやりして、何もはっきりとは見えやしないのだが。いつもの間にか、茶色いカーテンの端から光が漏れまくっている。これだけ晴れていたら、部屋の多肉植物はお腹いっぱいだ。しかし、どう考えてもお昼過ぎてるなぁ。しまった。今日も寝過ぎた。そういえば昨日飲みすぎた。隣のあいつはどーしてんのかと、ちらりと横の様子を見ると、SPURや装苑などのハイファッション雑誌で見かける異国のモデルのような、やたらとでかい目と長すぎるまつげ、ロシア製の鼻と眉毛。「起きてるの?」「うん」「何見てるの」「ツイッター見てる」「好きだね?」「うん。でも俺は見るだけなの」

・多動というのはいいことがない。こんな日はのんびりするのだ。芝桜を見に行くのを諦めたのなら、なおのこと。と思いつつ、これは病名はなくとも立派な病気だから、そわそわして、次第にイライラして「もう帰ろかな?」「え?なんで?」「だって、ずっとゴロゴロしてるの?どうすんの?温泉行くの?行かないの?何もしないなら帰ろうかな」「行きたいよ」「じゃあ行く?」「うん」

・つーわけで温泉(前置き長杉晋作)。地図を頼りに、あんなに速く走るバイクがのろのろと、大人二人を抱えて上り坂を進む。あっ!と見つけたその温泉の第一印象「名前……ダッセェ!!!」。

・5階建の、無駄にでかいコンクリートの塊の中へ突入。中身は、温泉アミューズメントおよび漫画喫茶および…みたいな、なんでも有りの、温泉が売りなのか何なのかわけがわからない施設。魅力的なフードコート(主にパクチーと餃子)を尻目に、炭酸、芳香、シルクなどの10種類の変わり種温泉、あとサウナも満喫してきた。

・浴場のうち、室内のサウナに1つ、露天風呂には同じものが2つ、それぞれデカすぎるテレビ。片隅にでかすぎるおっぱい。その隣にもでかすぎるおっぱい。滑ったら転んでそのまま即死しそうなガキ複数。寝転ぶところにもベンチにも浴槽にも子連れ・孫連れ、ヤンキー、いろんなお客さんとおっぱいが温泉に集結。なんなのこれは。どんな美しいエロビデオの撮影始まるんだ(撮影不可だわ)。年齢も時間も楽しみ方も問わず、裸で、、、いや裸だからこそ、ムダ毛ボーボーだからこそ、他人の何かに注目するでも批判するでもなく、その場が成立する。それが普通すぎて、恥ずかしがるでもそわそわするでもなく、癒されるが為にそれぞれ温泉を愛し集う。なんだよこれ。風呂だからって理由でこんなに集って許されて…そうかこれがジャパンだ。などと思いながらホカホカ&つるつるした。一言でいうと、おっぱいがいっぱい(わーい!)

・温泉を出ると、漫画3万冊読み放題コーナーと青臭すぎる畳のお昼寝コーナー、ワシの大好きな籐で出てきたハンギングチェア!!!

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これじゃ!!!!なのにガキが陣取ってて座れない「お客様、こちらは岩盤浴ご利用のお客様限定の階でございますので…」え?何それ?ハンギングチェアと岩盤浴の関連性まじわかんねぇ。わかったとて、座れないんかい!!なんじゃそりゃ!世の中お年寄りとガキと金かよ!年パス買ってやる!!水族館の後にな。

・そして迷子になった。のは置いといて、温泉成分でプルプルな蟹になったワシは、明日の朝には米倉涼子になっているはず!!!!!!これぞ、脱皮のベストタイミング(うまいようなうまくないような)

・日曜日はカレーの日なので、定番のカレー屋さんへ。ここのカレーとナンはいつも最高なのだか、メニューにあるタイ料理だけがほんとに微妙であった。以前とは作る人が変わってしまったのだと思うけど、材料も味も違うともはや別物だね。

・現場からは以上です。